■大賞受賞作品■
握ってしまった運命
愛徳    
第一章

内定が出ないまま大学を卒業し、なんとなく深夜のコンビニのバイトを始めてもう2年になる。いわゆるフリーターというやつで、この肩書きに対する世間の目は決して良いものではない。しかしこのバイトを始めてからというもの、自分がいかにまともな人間かということを強く実感させられた。
夜のコンビニには、とにかく次から次へとまともとは言い難い客が訪れる。まだ1歳にもならないような乳児を背負って入ってきたかと思うと、そのまま長時間の立ち読みに耽る若い母親。パンツ一丁で入ってきて、いつまでも店内をウロウロし続けるおっさん。もはやここではこれが普通の光景だった。
そしてこの日も、新手の奇想天外な客が君臨することとなる。5分ほど前にレシートの受け取りを拒絶して帰ったはずの大学生くらいの男が、にやにやと笑みを浮かべながら戻ってきたのだ。
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