握ってしまった運命
愛徳    
第二章

「やっぱりさっきのレシートちょうだい」
男は戻ってくるなり脇目も振らずにレジまで来て言った。幸い、ゴミ箱の中のレシートはビリビリに破いてはいなかった。男はレシートを受け取り出口まで行くと、急に立ち止まりくるりと方向転換をし、またにやにやしながらこちらへ向かってきた。
「やっぱり捨てといてくれる?」
その目と口元から、明らかに俺をからかって遊んでいるのが分かる。しかし今は俺は店員で相手はお客さんだ。不信感を抱きつつもレシートを受け取る。男は、俺がレシートを再度ゴミ箱に捨てたのを確認して、こう言い放つ。
「やっぱちょうだい」
湧き上がってくる怒りを何とか抑え、ぷるぷると震える手でレシートを渡す。
「やっぱいらないわ」
捨てる。
「やっぱもらおうかな」
渡す。
「やっぱいいか」
捨てる。
「やっぱもらうわ」
きええええええええええええええ!!
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